籔内佐斗司の「神代の伝へ/Messages from Antiquity」シリーズ
2016年4月に開催された「アートフェア東京」で籔内佐斗司が発表した「神代の伝へ Messages from Antiquity」は、彼の新しいシリーズである。
この新作は、長年彼が造り続けてきた「童子(どうじ)」作品を見慣れていた多くの籔内ファンを大いに驚かせた。しかしその原点は、彼が三十歳代に数多く制作した「生命の鎧(いのちのよろい)」シリーズの系譜につながっていることは明白だ。
「多くの方がご覧になったことがある童子シリーズの作品」
「生命体は魂と肉体から構成され、肉体は生命(いのち)が纏(まと)っている鎧(よろい)」というコンセプトのもとに、内側が空洞になった人体や面、動物などの初期作品の面影を色濃く感じることができる。
《鎧シリーズ》
「男の鎧・阿吽」
1991年作/ 檜、漆、顔料
(刈谷市美術館蔵)photo/成田弘
「女の鎧・おつまみ」
1990年作/ 檜、漆、顔料
(刈谷市美術館蔵)photo/成田弘
「どこかものたりない不可思議な人物たち」
1983年/檜
(島根県立石見美術館蔵)photo:遠藤桂
「神代の伝へ」のシリーズは、「生命の鎧」シリーズが現在の籔内佐斗司の感性と技能によって蘇ったものといえるだろう。「作品を造っていると、この四半世紀のあいだ、無意識のうちに押さえていたものが解き放たれたようで、とても楽しくわくわくしながら制作している自分に気づいた。」と彼は語っている。
籔内佐斗司には、生命エネルギーを象徴した「童子」の作家というイメージが定着し、また「仏像の修復家」「仏像案内人」「平成伎楽団のプロデューサー」などの多彩な肩書きもつけられ、近年は「せんとくんの生みの親」として世間に認知されてきた。しかしこのことに彼はいささか忸怩たる思いでいたという。そしてその思いをバネに、新しい挑戦として今回の作品が生み出された。
籔内佐斗司がプロデュースする「平成伎楽団」
平成伎楽団official web: http://uwamuki.com/j/heisei-gigakudan-f.html
籔内佐斗司がデザインを行った数々の「せんとくん」
2016年に制作された「ラグビーせんとくん」
遥かいにしへの時代に、ひとびとともっともっと近しい関係にあった神々が、籔内佐斗司を霊媒として現代人に伝えようとしている事は何だろう?数千年のユーラシアの精神文化を背景に、日本で高度に発達した仏像の素材と技法に習熟した彼ならではの作品は、日本の文化とその文化を形成したルーツの全てを作品の中に表現している。古仏の研究と修復作業から獲得した豊かな知識と経験から生み出される籔内佐斗司の「神代の伝へ」シリーズの今後の展開から目が離せない。
〜神代の伝へ作品展示のお知らせ〜
現在、Y'Sギャラリーでの展示を行っております。
展示期間は、2016年5月20日〜6月30日を予定しております。
皆さまこの機会をお見逃しなく。
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Y’sギャラリー
〒105-0014 東京都港区芝3-12-12 サンテ・トゥルム芝公園 1F
open:11:00 close:18:00
定休日:日曜日
お問い合わせ:03-6809-6137
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