深井桐箱製作所

みなさんこんにちは、籔内佐斗司工房の金和です。

本日は、彫刻家・籔内佐斗司の制作した木彫作品が収められる特注の桐箱のご紹介をさせていただきたいと思います。

そもそも、なぜ桐箱に作品が入っているのか。

見た目がいいから?高価なものだから?

いえ、きちんとした昔ながらの知識に基づいて作品を桐箱に収めています。



本日ご紹介させていただくのは、東京上野で3代目として桐箱のオーダーメイド制作を行っている深井桐箱製作所の深井惣一さんです。

深井さんのおじいさんが始めた深井桐箱製作所は、昭和10年頃からスタートし、最初はメダルや硬貨をしまう桐箱を作る仕事から始まったそうです。その後、深井さんのお父さんの代で焼き物のオーダーメイドの桐箱制作を行い、3代目の深井さんの代でこれらの先代から受け継がれた技術をもとに、2000年から籔内佐斗司の木彫作品の桐箱制作を行ってくださっています。籔内佐斗司が当時使っていた桐箱は、作品が中で動いてしまい、修理を行うことが多かったため、作品が固定されて動かない桐箱を制作できる人を探していたところ、知り合いの方を通して籔内佐斗司と知り合い、試行錯誤を繰り返しながら現在の仕掛けが施された桐箱を生み出し、現在まで16年間もの間お世話になっています。



興味深々の私、桐箱制作を行っている現場に取材に伺ってまいりました。

その様子をまとめさせていただきましたので、ぜひご覧ください。


こちらは深井さんの作業場。

職人さんの道具っていうのは、見ていてとても興味があります。

深井さんの作業場も何やら昔ながらの道具がたくさんです。


深井さんが作業台として使っているこの木は、桜の木だそうです。

桜の木ってこういうところで使われるんですね。初めて知りました。

桜の木は、硬くて十分な重さがあるので、作業台などには向いているようです。


深井さんの作る桐箱は、すべてオーダーメイドです。

だからこそ木彫作品一つ一つに合わせた制作が可能です。

深井さんが使用しているのは、国産桐。その国産の中でも品質のいいとされる会津桐を使用しています。寒い地域の桐は、成長するまでに時間がかかり、細かい木目ができるのが特徴だそうです。


桐は柔らかく、湿気や乾燥にとても強い日本の気候にあった材木です。

最近ではあまり見かけなくなりましたが、桐ダンスなんかはとても有名ですよね。

中にしまったものを湿気や乾燥から守り、また虫食いや火事などからも守ります。

籔内佐斗司の作品は、檜(ひのき)でできていますので、湿気や乾燥、日焼けから作品を守る意味でもとても安心してしまっておける入れ物なのです。



さて、ここからは少し制作の様子をご覧いただきたいと思います。

こちらは、作品を抑えて中で動かなくするために取り付ける抑えです。

木に別珍(べっちん)と呼ばれるクッションのようなものを取り付けた2つの抑え板がありますが、この作業は深井さんオリジナルの道具で作品の寸法を測り、長年の経験で取り付ける場所を決めます。

ちなみに、深井さんが作品の寸法を取る際に使う道具は、紙と鉛筆と定規、それから別珍のサンプルのみです。

側面の板の2枚に取り付ける場所を凹に削り、別珍を取り付けた木の板をはめるのですが、この際、別珍の付いていない方の板を木の板を金づちで少し叩き、若干潰します。別珍の付いた板の厚さを凹よりも若干厚くして、そのままでは入らないくらいの大きさで制作し、それを金づちでうち、小さくすることで別珍付いた木を側面の板に取り付けます。

凹の部分に木工用のボンドを塗り、先ほどの潰した別珍の板をはめます。

そして、ここからさらに先ほど潰した部分に若干の水を滴らせます。

こうすることで、桐の木が再び元の大きさに戻ろうとし、溝とさらにかみ合い外れることがなくなるんだそうです。



そしてこのように取り付けられます。


もう1枚同じものを制作し、組み立てます。

この際も木工用のボンドでのとりつけになりますが、空木(うつぎ)と呼ばれる釘を使いさらに接着部分に強度を持たせます。やはり、金属は木を腐らせてしまうので、釘まで木材を使用しているんですね。

こちらが空木(うつぎ)の釘です。


これをこのように打っていきます。


そして、後ろと前の板を取り付けて完成となるのですが、深井さんが作る桐箱の特徴として非常に興味深いのが、これらの桐箱は「仕掛け」箱となっていて、作品を載せる台をスライドして箱に収める仕様になっていることです。


こちらが完成した桐箱です。

たとうに入れられた籔内佐斗司の木彫作品を収める桐箱です。

正面の板は、落とし蓋となっていて、上下にスライドして開け閉めを行います。

そして、箱書きが行われる正面の板には籔内佐斗司の希望もあり、墨滲みが少なく滑らかに箱書きを行うために、サンドペーパーで仕上げた表面に薄く「えぼた」と呼ばれるロウでコーティングを行っています。木目が非常に綺麗に浮き出ています。


さて、中を見てみましょう。

中を開いてみますとこうなっています。

このように作品の台座のサイズぴったりに型どられた桐の台座をスライドして作品を出し入れします。先ほどの別珍(べっちん)がしっかりと噛み合うことで、作品と箱の間に空間がありますが、作品が暴れることなく安心して持ち運びすることが可能です。



始めに書きましたが、檜を使って制作される籔内佐斗司の木彫作品を湿気や乾燥から守る大切な役割を果たしている桐箱は、深井さんが手間をかけて一つ一つ制作してくださっています。

作品のことを考え、皆様に安心して保管していただきたいという籔内佐斗司の思いと、その思いを真剣に受け止めて、何度も試行錯誤を重ねてかれこれ16年もの間、籔内佐斗司の木彫作品の桐箱を制作してくださっている深井さんの桐箱が作品とともにお客様の元に納品されていきます。


※作品すべてが落とし蓋、仕掛けが施された桐箱になるわけではございません。作品の形状によっては、上蓋式のシンプルな桐箱に仕上がることもございます。


深井桐箱製作所では、オーダーメイドの桐箱制作を行っており、籔内佐斗司の作品以外にも作品ごとにサイズの違う焼き物などを入れる桐箱の制作なども行っています。

もし、深井さんの桐箱のオーダーメイドの注文をされたい方がいらっしゃいましたら、特別注文も受け付けてくださるとのことですので、ぜひ興味がある方は、こちらの情報もご覧ください。


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深井桐箱製作所

〒110-0005 台東区上野5−12−7

Tel:03-3831-5013

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7月28日、29日に行われる「台東区産業フェア」で深井さんの制作する桐箱のワークショップがご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

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